葉を丸め受ける滴り山の味    中村 迷哲

葉を丸め受ける滴り山の味    中村 迷哲

『合評会から』(日経俳句会)

反平 子どものころ、同じことをよくやったな、と思い出して戴きました。
三代 私も、崖を伝ってくる滴りを、笹かなんか柔らかい葉っぱを丸めて受けて飲んだ記憶を思い出し、実感で採りました。
方円 私は「滴りや行列をして出す両手」と詠みました。でも、自分でも葉っぱで受けて飲んでいたのを思い出しました。
水牛 実体験の句でしょう。わりに大きな葉っぱを丸めて、滴りを受けて飲む。滴りのおいしさが伝わってきて、とってもいい句です。
三薬 ボクは山歩きで水を飲むときは、大体、そうする。みんなやる。だからあんまりにも当たり前なので、採れませんでした。
          *       *       *
 季語「滴り」にもっとも相応しい句として、兼題トップの点数を得た。なるほど、多くの人の記憶の中の「滴り」である。本格的な登山や山歩きのとき、崖や岩場から滲み出す水に出会えば掬って渇きを癒す。手で掬うかコップがあればコップ。なければ大きめの葉っぱを利用して水を掬う。「甘露」というが、喉元をすべりおちる冷たさに疲れが吹き飛ぶ心地がするものだ。山の地層を抜けてきた水は、その山の特徴をそなえている。ミネラルが多いとか、花崗岩で濾過され味がよいとか、それがその山の味。なんの葉で掬ったのか知りたいとの声が多かったのも体験者の多い証拠だ。
(葉 22.08.03.)

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