蘭鋳の王の顔して鉢の中     徳永 木葉

蘭鋳の王の顔して鉢の中     徳永 木葉

『合評会から』(番町喜楽会)

てる夫 蘭鋳ってすごい顔しているんですよね。王様に置き換えたところが面白い。
迷哲 蘭鋳を王にみたてて、それが鉢に捕らわれているという諧謔味が面白いなぁと。
白山 蘭鋳が王様とは……そこがいいですね。
光迷 蘭鋳は頭でっかちで不格好ですよね。それを王冠に見立てたんでしょうか。
幻水 比喩が面白い。また王と「鉢の中」の落差も面白い。
           *       *       *
 蘭鋳(らんちゅう)は高級金魚の代表品種のひとつで、背びれのない丸い体と頭部の肉腫が特徴である。江戸時代に品種改良で生み出されたものだが、品評会クラスのものは10万円前後するらしい。その蘭鋳を「王の顔」に見立てた着想にまず驚いた。確かに蘭鋳の特異な体形、希少性に加え、瘤が王冠と言われると、金魚の王様らしく見えてくる。
 さらに「鉢の中」の結語も何やら意味深長だ。単なる金魚鉢ではなく、王の顔をした者が囚われている心の囲いとも読める。クレムリンに籠る王は、帝国主義に囚われ戦争のやめ時を見失っている。作者は二重三重の見立てを企んだのではなかろうか。
(迷 22.07.26.)

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