はたた神街を一喝してゆけり  玉田 春陽子

はたた神街を一喝してゆけり  玉田 春陽子

『この一句』

 俳句を作るようになって、それ以前には知らなかった言葉に出会うことがたびたびある。例えば、「地震」のことを「ない」と読ませることなど、俳句をやらなければまったく無縁だったと思う。この句に使われている「はたた神」は雷のことであるが、この言葉も今や俳句でしか使われない言葉のような気がする。「はたた神」は漢字では「霹靂神」と書くらしい。「霹靂」と聞けば「青天の霹靂」しか思い浮かばないが、なるほどあれは雷のことかと改めて思う。余談だが、最近の小学生は『鬼滅の刃』のおかげで「霹靂」が読めると聞く。
 語源を調べると「はたた」は「はたたく」から来ているらしいが、この和語と漢語の「霹靂」はどうも無理矢理くっつけた印象がある。ちなみに、秋田名物の「はたはた」は、この「はたた神」に由来しており、漢字では魚偏に「神」とか「雷」で表記されている。
 ところでこの句、やはり「一喝して」が効いている。戦争や紛争のこと、コロナ対応やオリンピックのこと、異常気象のこと、高齢化社会のことなど、街ならずとも、家庭にも、国にも、世界にも問題は溢れている。雷様がそういう我々の世の中のゴタゴタに喝を入れてくれているのだという警句になっている。天空と下界をつなぐ構図は、どこか蕪村の名句「月天心貧しき町を通りけり」を思い出させる。切れ味の良い一句である。
(可 21.07.22.)

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