地下足袋で昼の憩いや冷し汁   篠田  朗

地下足袋で昼の憩いや冷し汁   篠田  朗

『この一句』

 「地下足袋で」は「地下足袋のままで」ということだ。「地下足袋は脱がずに」と言い直してもいい。作者はこの時、庭の手入れの最中だった、と想像出来よう。シャベルや鍬などを持ち出し、けっこう大変な仕事を始めているに違いない。やがて昼の休憩時間になり、奥さんに声を掛けた。冷蔵庫に入れておいた冷汁が、ほどなく運ばれて来るはずである。
 掲句において、季語「冷し汁」以上に重要な役割を持つのが「地下足袋」だと思う。園芸好きの友人によると、地下足袋を履くか履かないかによって、庭仕事のレベルが決まるそうだ。古びたスポーツ靴を履くようでは、アマ庭師としてB級止まり。コハゼ八枚、十枚というような長靴状の地下足袋を履いてこその「庭師のはしくれ」なのだという。
 作者は縁に腰を下ろした。冷し汁の丼を両手に持って、まず一口。すでに一汗も二汗もかいていた。履いたままの地下足袋が、昼の憩いの後の仕事続行を示す。そうか、冷し汁は労働の際の飲み物なのだ、と私は気づいた。ネットで調べたところ、「袋入りの冷汁の素」が売り出されていた。この夏の庭仕事の際は、冷汁の素を試してみよう、と私は考えている。
(恂 21.06.07.)

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