遅き日や部活終りのトンボがけ  向井 ゆり

遅き日や部活終りのトンボがけ  向井 ゆり

『合評会から』

三代 日が長くなり、夕方遅くまでの部活動を終えてトンボがけしている部員の姿が浮かびます。
鷹洋 陽がまさに落ちようとする時、長時間の練習を終えた運動部員が黙々と地ならししている。私も幾年か立ちあっただけに、一入懐かしく感じました。
朗 練習の充実感と薄暮の感じがマッチしています。青春讃歌ですね。
迷哲 中学時代を思い出しました。伸びてきた夕陽の影が見えるようです。
三薬 日が伸びた校庭ののどかな時間。しごかれてフラフラ、なにが長閑だ、と怒る向きもあるだろうが。「部活やめなさい」都知事が指示を出す昨今、こんな風景も遠くなりました。
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 「トンボ」とは正しくは「グラウンドレーキ」といい、野球場などのグラウンドの地ならし道具。蜻蛉に形が似ているのでそう呼ばれるようになったという。
 学校の部活動の場合、グラウンド整備は一年生がやらされるのが通り相場だ。上級生が帰り支度をしているのを横目に、黙々とトンボを引いている坊主頭の少年たちが思い浮かぶ。トンボかけの手を休め、汗を拭う。ふと夕日が目に入った。「あれ、なんかまだ明るい」。子供心にも遅日を実感するのはこんな時だろう。
 三薬さんも触れているとおり、コロナの影響で全国各地の学校で部活が休止になっていると聞く。「学生達が普通の学校生活を取り戻せるように」、作者がこの句に込めた思いだという。
(双 21.05.04.)

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