冬めくや脛カサカサと知らせけり  旙山芳之

冬めくや脛カサカサと知らせけり  旙山芳之

『おかめはちもく』

「実感です。家内がかさかさの脛にクリームを塗っているのを思い出しました」(朗)、「乾燥した皮膚が小声でこっそり教えてくれているかのようにも感じられて面白いです」(早苗)、「冬が近づくと脛の脂っけが抜けて痒くなります。現実感があります」(木葉)、「カサカサという乾いた擬音がいかにも初冬。唇や手先はいち早くケアするが普段目に入らない脛は忘れてしまいがち。ウロコのようになった肌に気づいて慌ててクリームなど塗る。日常のなかに季節を感じる感性」(阿猿)。
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 合評会では次々に共感の声。初冬に「皮膚のかさつき、かゆみ」を感じる人は多い。それを「冬めく」という季語に取り合わせて詠んだところが高点の所以であろう。
 江戸の俳諧にしばしば出てくる「雁瘡」(がんがさ)という季語がある。雁が飛来する初冬にスネをはじめ体のあちこちがむやみに痒くなり、時には赤く発疹したり、湿疹のようになったりする。掻き壊してカサブタができたりする場合もあるが、春になって雁が帰るころになると自然に治ってしまう不思議な皮膚病である。今はそれなりの病名がついているのだろうが、まあ命にかかわるようなものではないからあまり問題にされていない。この句もそんな軽いところをうまく詠んでいる。ただ、切れ字の「や」と「けり」が二つあるのが気になる。ちょっと説明調になるが、「冬めくを」としたほうがいいかなと思う。
(水 20.12.11.)

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