夜濯や今日落としたき汚れあり  斉山 満智

夜濯や今日落としたき汚れあり  斉山 満智

『合評会から』

命水 いったい何があったのでしょうか。上司に叱られたのか、客先でいやな思いをしたのか?
光迷 何かいやなことがあったのか、体のことなのか、と考えさせられます。
春陽子 物理的なシミだけでなく、「汚れ」の内容を読み手に考えさせるという事でしょうか。
          *       *       *
 筆者も一票を投じた句である。この句は「しつこい汚れが着いてとても明日まで放置できない。今夜中に洗濯してしまおう」と解釈することが出来る。と言うか、文字面を素直に追いかければ、そう解釈するのが自然である。
 ところが、この句を評価した人は、筆者も含めて、誰もそのようには読んでいない。心の中に引っかかる何かがあるのだろうと、この句を採り上げた全員がそう解釈している。この日の句会に作者は欠席されていたので、句意をお聞きすることが出来なかったが、おそらく、一句にこめた作者の思いは正確に読み手に伝わっているだろう。
 修辞の方法としてこういうのは何というのだろう、「暗示」だろうか、「寓意」だろうか。しかし、この句にはそんな作用へ誘導するような、作為的な措辞は見当たらない。それでいて、読み手を「こういう経験あるよなあ」という共感に引き込む。言葉の不思議を感じさせる句である。
(可 20.07.17.)

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