初午に地口行灯朱の鳥居     久保 道子

初午に地口行灯朱の鳥居     久保 道子

『合評会から』(酔吟会)

春陽子 初午の宵のなまめかしい色を感じます。中七以降、一気に読ませる調べが心地良い。
水兎 あの行灯、江戸時代のままの駄洒落で、とても楽しいですよね。
操 五穀豊穣などを祈る神事の情景。神秘的である。
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 初午は二月の最初の午の日に、京都の伏見稲荷を中心に全国のお稲荷さんで行われる祭。お稲荷さんは元々は農業神だったが、徳川時代になると商業の神様となって、江戸の町々には稲荷社が設けられ、「江戸に多きもの、伊勢屋稲荷に犬の糞」とまで言われた。今でも東京の町には至る所に稲荷社が残っている。
 地口とは「恐れ入谷の鬼子母神」「杏より梅が安い(案ずるより生むが安し)」といった洒落、言葉遊びで、それを書いた行灯を稲荷社の参道に立て並べた。そこに火が入ると朱色の行灯柱や鳥居に映えて美しい。江戸っ子たちは「これは上手い」「こりゃダメだ」と囃しながらお参りした。昔ながらの情緒をさらっと詠んで、とても楽しい。ただ、上五は「や」で切った方がいいように思う。
(水 20.03.30.)

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