韓国語消ゑて長崎冬に入る    高井 百子

韓国語消ゑて長崎冬に入る    高井 百子

『この一句』

 令和最初の立冬の朝、東京の気温は10度ちょっとだった。それはともかく、この一句は、昨今の日韓関係を背景とした時事句として受け止めた。来日観光客が減少し、観光地・長崎も寂しさが募っていると…。徴用工問題に端を発し、貿易問題などに発展した両国の関係は、まさに冬の季節に入ったようである。
 俳句では現在、すなわち今を詠うことが中心になっている。しかし、政治や経済という現在を突き動かしているものを正面から取り上げることは珍しい。ほとんど無い、といってもいい。それを観光という文化の一面から取り上げた作者に大きな拍手を送りたい。花だとか蝶だとかばかりもてあそんでいるんじゃないよ、という姿勢に。
 いわゆる伝統俳句には、地名や人名という固有名詞は季語同様の重みを持つという考え方もあるようだ。忌日が季語になっているのは、一例だろう。その意味では、長崎が効いているのか、という問題が出そうだ。しかし、中七を「消え長崎も」としたのでは、強さが失せる。個人的にはむしろ、ほとんど発音されない「ゑ」の表記に難を唱えたい。
(光 19.11.13.)

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