春浅し時刻通りに朝ぼらけ     鈴木 好夫

春浅し時刻通りに朝ぼらけ     鈴木 好夫

『季のことば』

 朝早く手洗いに起きたら、もうあたりが薄明るくなっている。夜明けがだいぶ早まったなあ、まだとても寒いけれど春になったのだなあなどとクシャミしながら思ったりする。この句はそうした気分をうまく表している。
 「時刻通りに朝ぼらけ」という言い方がとても面白い。当たり前じゃないかと言ってしまえばそれまでだけど、まさに暦の時刻通りに朝日が昇ることが嬉しいのだ。
 東京近辺の冬至の日の出は午前六時四十六分頃だが、春分の日になると五時四十四分と一時間早まっている。単純に平均すると、冬至から春分まで1日40秒ほどずつ夜明けが早まることになる。一日二日ではその違いはあまり気づかないが、一週間、十日ともなればはっきりと分かる。
 日沒を比べるとそれがもっと鮮明になる。冬至の日没は四時半、春分の日没は五時五十分頃。日暮れが遅くなったことが誰にでも分かる。「日永」が春の季語になったのも頷ける。とにかく朝ぼらけの早さと日永には、心を浮き立たせる働きがあるようだ。(水)

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