残雪や苔あおあおと三千院     旛山 芳之

残雪や苔あおあおと三千院     旛山 芳之

『この一句』

 作者は日経俳句会に入会したばかり。この句はもしかしたら最初に作った句の一つかも知れない。作者が判明して、初めてにしたら、実にしっかりと形の整っている句だ、と感じた。三千院の苔庭に初春の季語「残雪」を配している。「景の色合いが浮かんでくる」(研士郎)という評は全く同感である。
 京都市街の北東に位置する三千院。ここの庭は有名な西芳寺の苔の庭よりもすっきりと整えられている感じで、その中に石造りの童児が寝転んだり、頬杖をついたりしていた。そんな記憶は夏の頃に訪れた時のものだけに、句の緑と白の対比に「なるほどねぇ、残雪はいいなぁ」とつぶやいていた。
 三千院ですぐ浮かぶのが永六輔作詞の「♪京都大原三千院~」。この二番に「栂尾高山寺」、三番には「嵐山大覚寺」が出てくるが、もし三千院が二番以下になっていたら、誰もがぱっと思い描ける寺になっていたかどうか。だからこそ永さんは、何を措いても三千院を一番先に、と考えていたのだろう。(恂)

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