元日や三代揃ふ小半日     井上 庄一郎

元日や三代揃ふ小半日     井上 庄一郎

『季のことば』

 時の流れは切れ目無く続き、本来、折り目節目など無いはずなのだが、「元旦」だけは別物である。初日の出を仰ぎ、屠蘇を祝い、雑煮膳を囲むと、いかにも改まった気分になる。大晦日も元日も一続きの冬の日なのに、「おめでとうございます」と言い交わすと途端に清新の気に包まれる。
 やはり「一月一日」という一年の始まりを告げる日付がいい。これで気分も引き締まる。中国のように新年の祝いを昔ながらの旧暦で行うと、福寿草も咲き草の芽もしっかり伸びて、季節的には「初春」「新春」になるのだが、日取りが毎年変わってしまい、今年は二月五日が旧正月の元旦ということになって、何となく中途半端な感じである。私たち日本人は明治以降もう150年も「真冬のお正月」に慣れてしまっている。
 元日にはおじいちゃんおばあちゃんの家に子や孫が集まる。普段は静かな年寄り夫婦の家がわっと賑やかになる。しかしそれは小半日だけ、というのが面白い。お年玉をせしめた孫たちは早くも次のお目当てに移動せんと動き出すのだ。(水)

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