枯野吹く神祇釈教恋無情        藤野十三妹

枯野吹く神祇釈教恋無情        藤野十三妹

『この一句』

 一読、凄いね、と思った。神と仏と恋、そして無常はこの場合、「死」を意味するらしい。人間の情念をまとめて並べた、と言えるのだろう。句会ではその程度を考え、次の句に目を移してしまった。本欄を書くにあたって、メール送信の会報を読み直したところ、この句は無得点に終わっていた。
 再度目を通し、句会では読み過ごしていたことに気付いた。上五は「枯野“吹く”」であった。痩身の女性(作者)が枯野に立ち、寒風を浴びているのだ。その風が神、仏、恋、死なのだと言う。本年の最終と言うべき当欄掲載句を考慮中であった。ブルっと身震いしながら「これにしよう」と決めた。
 神祇釈教恋無常。これは連句の出だし、歌仙(三十六句)で言えば表(最初)六句には詠んではいけない題材である。スタートはなるべく差し障りのない形を守り、やがて本音を出して行く、ということなのだろう。ワグナーの研究者である作者、本音を出し始めたのかな、などと考えている。(恂)

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