筍の歯ごたえ欲しく歯科通い     澤井 二堂

筍の歯ごたえ欲しく歯科通い     澤井 二堂

『おかめはちもく』

 この句から「一句の中の因果関係」を見出すことが出来るだろう。「筍の歯ごたえ欲しく」。すなわち、筍を噛んだ時の歯ごたえが欲しいので、歯科医師通いをしている、というのだ。歯痛に悩まされ、筍をおいしく頂くことができない。そのために・・・、ということがまともに提示されている。
 この句が登場した句会の兼題に「夏めく」があった。作品の上五は「夏めくや」と「夏めきて」が多くなるのだが、「夏めきて」の場合は説明調のため、意外性の少ない句になりがちである。俳句は手品や推理小説と似ている面があり、種明かしはなるべく後に残した方が効果的なのだ。
 掲句の場合、例えば「歯ごたえ欲しや」とすれば、下五との間に僅かな断絶が生れる。、「く」から「や」にたった仮名一字を変えただけなのに、下五になって「作者(句の主人公)は歯痛だったのか」という意外性が生じてくる。私は筍の“歯ごたえ好き”だけに、一言言わずにいられなかった。(恂)
添削例  筍の歯ごたえ欲しや歯科通い

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