旅立ちの朝ことほぐや草芽ぐむ     廣田 可升

旅立ちの朝ことほぐや草芽ぐむ     廣田 可升

『おかめはちもく』

 地方転勤、地方から東京本社への異動、あるいは海外転勤。若い人の場合なら地方の高校を卒業して大学入学のための上京──春は「旅立ち」の季節でもある。そんな大きな旅立ちでなくてもいい、もう仕事とは無縁になった年寄りの泊まりがけの吟行旅行だって「旅に出る」ことには変わりない。
 とにかく、どんな旅であれ、旅立ちには多かれ少なかれ心を刺激するものがある。「行ってまいりまーす」と門を出しなに、路傍に芽生えた草が朝陽を浴びて光っている。「元気でね」と励ましてくれているような気がして嬉しい。この句はそうしたうきうきした感じをそのまま詠んでいて気持が良い。
 ただ「ことほぐや」とまで言わなくてもいいのではないかなと思う。確かに作者にはそう感じ取れたに違いない。しかし、そこまで言ってしまうと、いわゆる「言い過ぎ」で、読者に空々しい感じを抱かせてしまう恐れがある。草の芽が門出を祝うというような一種の擬人法ではなく、「旅立ちの朝一斉に草芽吹く」でもいい、草の芽の生え具合などをさらりと言った方が良さそうだ。(水)

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