泣き寝入り肩に掛けたる布団かな     池村 実千代

泣き寝入り肩に掛けたる布団かな     池村 実千代

『おかめはちもく』

 怒りや、苦しさや、悔しさを誰一人分かってくれない。ひとりさめざめと泣いて、泣き疲れて、いつの間にか寝入ってしまう。子供時代にも、青春時代にも、誰もが何度か経験しているだろう。泣き寝入りをしたことが一度も無いという人は、よほど気丈か鈍感かであろう。
 「布団」という兼題が出て「泣き寝入り」を思いついた作者は、豊かな感受性の持主に違いない。この二つを取り合わせただけで、俳句の土台は出来上がった。後はその上の構造物を形良く組み上げればいい。つまり、叙述の工夫である。しかし、この句は「肩に掛けたる」という叙述が中途半端で、句全体を分かりにくいものにしてしまった。
 泣き寝入りする時には、布団を引き被るか、潜り込むのが普通ではないか。布団から肩を出してせり出すような恰好で泣き寝入りというのは合点が行かない。ここはやはり「泣き寝入り引きかぶりたる布団かな」か「泣き寝入りもぐり込んだる布団かな」とした方が良いのではなかろうか。(水)

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