相棒は子と同い年おでん酒     谷川 水馬

相棒は子と同い年おでん酒     谷川 水馬

『この一句』

 「相棒」というのは元々は駕籠屋の前と後ろの二人組、あるいは埋め立て工事のモッコ担ぎの相方を言った言葉である。どちらかが力を抜けばたちまちよろけてしまう。息を合わせてヨイショコラショと担ぎ歩めばうまく運ぶ。こんなところから仕事仲間を指して相棒と言うようになった。相棒が何組か集まってのグループが「同じ釜の飯を食った仲間」ということになる。
 その昔の日本は年功序列社会で、職歴を積む毎に職階が上がっていく仕組みだったから、相棒も大体は似たような年頃だった。ところが近ごろはそうではなくなった。年功序列制度が崩れる一方、途中入社や派遣社員が激増している。一次定年後の嘱託社員や、定年後再雇用された高齢社員も増えている。六〇過ぎの人が息子と同年齢の若手社員と組んで仕事することも珍しくなくなった。
 仕事の山を越えてやれやれという一夕、親子のような二人組がおでん屋で酌み交わす。パソコンやAI機器の操作で昼間はすっかり世話になった青年に、今度は人生相談に乗ってやる。平成の相棒同士である。(水)

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