生き上手死に上手の人さくらんぼ  横井 定利

生き上手死に上手の人さくらんぼ  横井 定利

『この一句』

 生き上手にして死に上手の人。生前は友人や知己と仲良く付き合い、例えば俳句などに親しみ、一生の趣味として楽しんでいた人だろう。さらに老後も元気に過ごし、家族にさほどの迷惑を掛けることなく、別れの言葉を交わすほどの余裕を持ちながらあの世へ旅立った、というような人を想像させる。
 そういう人柄であることは分かるが、「その人とさくらんぼの関係が分からない」とある人が言った。さくらんぼを食べながら故人を懐かしんでいるのだろう。奥さんとその人のことを話し合っていたのかも知れない。そういう回想や会話と、さくらんぼの取合せにはなかなか味がある、と私は思った。。
 昭和の一時期、「二物衝撃」という作句法が俳句界を席巻したことがあった。「取合せ」「配合」などと言われる手法と同じだが、もっと衝撃的な取合せを意味していた。近年、「二物衝撃はすでに死語」などと説明されている。掲句のような“温和な二物衝撃”も解釈されにくくなってきたのだろうか。(恂)

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