薄氷に透けて見ゆるや巨大鯉     井上 啓一

薄氷に透けて見ゆるや巨大鯉     井上 啓一

『おかめはちもく』

 鯉は十一月ごろ、水温が10度近くまで落ちてくると動きが鈍くなり、餌も食べなくなるという。それから翌年の三月末あたりまで、じっと水底に潜み、本格的な春の到来を待つ。池に氷が張るような地域では、薄氷になっていく時期に、「そろそろ腹が減ってきた」と動き出すらしい。
 この句はまさに、そんな時期の鯉を詠んでいる。「巨大鯉」というのだから体長は八十造發△襪里世蹐Α6腓諒薫狼いらすれば緋鯉ではなく真っ黒な真鯉なのだろう。そんな鯉がいよいよ水面近くに浮いてくるようになった。公園の池の薄氷を眺めていたら、その下に鯉がやって来たのである。
 春先の池や鯉の様子を詠んで、なかなか魅力のある句だと思うのだが、注文が一つある。氷の下の鯉が「透けて」いるのだから「見ゆる」はなくてもよさそうだ。代わりに目が覚めた頃の鯉の動きを加えてみたらどうだろうか。もちろん巨大鯉の、もの憂いような動きである。そこで・・・
 添削例  薄氷に透けてゆらりと巨大鯉   (恂)

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