冬めけり日毎に池の鴨増えて   竹居 照芳

冬めけり日毎に池の鴨増えて   竹居 照芳

『季のことば』

 「冬めく」は初冬十一月の季語で、木枯らしが吹き、落葉が散り、所によっては霜が降り、「冬らしくなったな」と覚える頃を言う。「鴨」はやはりその頃北国から渡って来るので、冬の季語になっている。というわけで、この句が出た三四郎句会では「季重なり」が問題にされたようだ。
 ただ、今年のようにいつまでも寒くならないと、こういう句が成立するのではないかなと思ってしまう。というのも、鴨の渡りがずいぶん遅くなっているようだからである。上野・不忍池や横浜・三渓園などによく行くのだが、十数年前なら十一月中旬にはたくさんの鴨がうるさく泳ぎ回っていたのに、今年は十二月に入ってようやく賑やかに、という感じなのだ。
 脂肪層厚きガイジン観光客が歳末の東京を半袖で歩いている。この句は、そんな東京にも鴨が日に日に多くなって来て、ようやく「冬だな」と気づいたというのである。その感じをより鮮明に打ち出すには、「冬だなあ日毎に池の鴨増えて」などとするのも手かも知れない。(水)

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