山茶花や値札くくられ根巻き苗     植村 博明

山茶花や値札くくられ根巻き苗     植村 博明

『季のことば』

 ほう、根巻き苗か、と思った。山茶花の根を麻布で包んで売っているのだ。園芸店やホームセンターなら、ビニールのポットに芽生えたばかりの細い苗を並べている。この句は、本式の植木市の風景を詠んでいるのだろう。値札だけでなく、花もいくつか付いていて、こういう花ですよ、と知らせてくれている。
 麻布も、ぐるぐると巻いた麻紐も、そのまま地中に植えるものらしい。有機物だから、いずれ腐って地に還って行くと聞いている。しかし今どき、どういう家の人が買っていくのだろう。山茶花はけっこう成長が早い。地植えにしたら、成長に対応するための苦労がついて回るのではないだろうか。
 考えがこういう方向に進んでいくのは、我が家の庭が“ネコの額”であるからだ。失礼ながら、作者も同じようなことを考えながら、この句を作ったのかも知れない。昔ならごく普通のことが今では珍しい。珍しいから俳句になり、少年時代のこと、山茶花の垣根のことなども思い出させてくれる。(恂)

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