夏めきて床屋のはさみ動き出す     植村 博明

夏めきて床屋のはさみ動き出す     植村 博明

『合評会から』(日経俳句会)

ヲブラダ 床屋さんは年中やっているから、「はさみ動き出す」は理屈に合わないかも知れないが、これは写生句ではない。「夏めきて」と感覚的に合っています。
弥生 暑くなると、床屋さんや美容院が忙しくなる。それが「はさみ動き出す」なんですね。
好夫 「はさみ動き出す」は、はさみと床屋が活発に動き出すという、双方に掛っているのでしょう。チャップリンが床屋になる映画のハンガリア舞曲のような、音楽を感じます。
綾子 はさみがキラリと輝いて、お客はさっぱりとして店を出て行く。
反平 「動き出す」より、「床屋のはさみリズミカル」くらいがいいと思うが。
水牛 床屋とはさみのリズム。夏こそ床屋、という感じなんですね。
              *         *
 句を見た時、はさみが動き出すとは? と首を傾げた。しかし合評会のコメントを聞くうちに、句の感覚に理屈が溶かされて行った。今では「はさみ動き出す」でなければならない、と思っている。(恂)

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