仏壇のカーネーションに語りかく   岩沢 克恵

仏壇のカーネーションに語りかく   岩沢 克恵

『季のことば』

 「母の日」を詠んだものであろう。アメリカ発祥の風習で、5月の第二日曜日を母親に感謝と愛を捧げる日として、母親が存命ならば赤いカーネーションを贈り、亡くなっていれば白いカーネーションを手向けるものとされている。日本には元々親子の間でこのような取って付けたような“儀式”は無かったのだが、暮らしの洋風化が考え方にも影響を及ぼしたのか、近ごろはごく自然に行われるようになっている。
 この句は「仏壇のカーネーション」だから、もちろん作者の母親は仏様である。しかし、「語りかく」とすっと詠んでいるせいか、まるでそこに生身の母親がいるような感じがする。きっと、作者もそのような気分なのではないか。カーネーションを供えて、「今日はね、こんなことがあったのよ」と、昔帰宅後にいつもそうしていたような調子で語りかけている。そうするとお母さんは、「ふーん、そうなの。それは大変だったわねえ」とか、「でもうまくやったじゃないの」なんて答えてくれるのだ。(水)

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