ひさびさの賽銭の音山桜   玉田春陽子

ひさびさの賽銭の音山桜   玉田 春陽子

『この一句』

 山桜というのは、ソメイヨシノのような華やかさは無いが、茶色がかった新葉とともに咲く風情が奥ゆかしい。吉野山のように無数の山桜が一斉に咲くのも壮観だが、山の中で常緑樹などに囲まれてたった一本、くねり曲がった枝に花をつける山桜の老樹にはなんとも言えない味わい深いものがある。この句の山桜もそういう年を経た樹なのだろう。普段はあまり人が来ないが、花時になると大勢押し寄せるのだろう。
 しかし、それだけを詠んだ句ではあるまい。これはやはり東日本大震災一周年の句に違いない。昨年の花時は大地震と津波の後始末で花見どころではなかった。もしかしたらこの社殿も山桜も被害を受けたのかもしれない。一年経ってまた桜の季節になった。まだまだ解決すべき問題は残っているが、まずは何とか落ち着いた。山桜の名木も忘れずに花咲かせて人々に希望を抱かせてくれる。久しぶりに社殿は賑わいを見せている。4月21日開催の第5回NPO法人双牛舎総会の俳句大会で堂々「天」賞獲得の句である。(水)

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