釣堀の疲れし水や夏の果     玉田 春陽子

釣堀の疲れし水や夏の果     玉田 春陽子

『合評会から』(番町喜楽会)

木葉 いい写生句ですね。釣堀は夏休みになると小中学生でにぎわうとともに、水も濁ってしまう。その感じがよく出ている。
白山 「疲れし水」がよくわからなかったので近くの江戸川の釣堀に行ってみた(笑)。そうしたら確かに水が濁っているんですよ。実景ですね。
双歩 「水が疲れる」という措辞が素晴らしい。
百子 「釣堀」の「水」に注目したところがすごいなぁ。
水馬(司会) 水底に落ちた餌が発酵して濁ってくるんですね。それを「疲れる」と言ったところが上手いですね。
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 擬人化は、なかなか成功しない。作者の思い入れが強すぎると、読者の感覚とずれを生じやすいからであろう。掲句は稀有な成功例といえる。水が疲れるという表現に誰も違和感を抱かず、むしろそこを評価している。暮らしの中で、澱んだ水や濁った水を見たことがあり、「疲れし水」を実感として受け止めたからだろう。夏の終りの気だるい雰囲気も伝わってくる秀句であり、8月例会で最高点を得たのもうなずける。(迷)

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