花の下昭和息づく写真館    杉山 三薬

花の下昭和息づく写真館   杉山 三薬

『この一句』

 花冷えの中、日経俳句会の創設者故村田英尾先生のお墓参りを八王子霊園で終え、武蔵野に明るい作者の計らいで小金井公園に足を運んだときの吟行句だ。
 この公園には、「江戸東京たてもの園」という昔の様々な建築物を保存している施設がある。目玉は移築された高橋是清邸で、吟行に参加した何人かは惨劇の現場に触発された句を詠んだ。
 作者は熱心に吟行に参加するが、集団で歩くことを潔しとせず単独行動を好む。いつぞやは一人、貸し自転車で浅草を疾駆したこともあった。この句も誰も取り上げなかった昭和の写真館「常盤台写真場」での詠だ。
 「カメラマンなら、じっくり見たいポイントでした」とはてる夫さんの選評。その通りで筆者(双)は、昔の写真館の二階に設えられた写場に魅入った。採光のための大きな窓、いくつも並んだライト、ホリゾントという背景の幕などなど、正に「昭和が息づいて」いるようだった。今やほとんどの人がスマホなどで気軽に写真を撮る時代に、レトロな香り。なんだか自分の想いを代弁してくれたような句で、嬉しかった。 (双)

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