雛祭妻と二人のちらし寿司     石丸 雅博

雛祭妻と二人のちらし寿司     石丸 雅博

『季のことば』

 「二月は逃げる」というが、三月の逃げ足も速い。雛祭はほんのこの前のことなのに桜の開花が話題になり出すと、もう遠い日のように思えてくる。俳句会でこの句を見たのは雛祭の一週間ほど後だ。それを今、ブログに載せたのは早業のように思っていたが、読み直すと時期遅れの感もある。
 時の流れは速いのか、遅いのか。年齢を重ねるに従って早く感じるようになると言われているが、人それぞれの違いもあるようだ。ある人は忙しければ早く過ぎると言い、それは逆だ、と主張する人もいる。さてこの日、ご夫妻二人で過ごした時間は、どのように過ぎて行ったのだろうか。
 お子さんはみな独立し、二人だけの生活になっている。雛の日がやってきたので、娘さんから預かっているお雛様を飾り、奥さんの作ったちらし寿司を二人で味わったのだ。夜であれば、いや昼間でも作者は好きな酒を飲んだのではないか。夫婦の時間はゆったりと流れていったと思われる。(恂)

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