からからの地を分け芽吹く時を告ぐ     大平 睦子

からからの地を分け芽吹く時を告ぐ     大平 睦子

『おかめはちもく』

 春先は雨が少なく大気も地面も乾燥状態になるのだが、今年の二月は特にそれが激しかった。散歩の道端などはかちかちだった。「でも時が来ればそんな土を割って、草の芽が生えて来る。凄いものだなあ」と、雑草の底力に感心している作者の眼差しがうかがえる。とてもいいところに目を付けたなあと感心した。
 しかし詠み方に少々難がある。最初は、「からからの地を分け芽吹く」で切れ、「時を告ぐ」という句だと思った。でもそれでは「春が来たよー」という「時を告ぐ」が取って付けたようになる。もう一度読み直してみると、これは「からからの地を分け」、「芽吹く時を告ぐ」なのだと思った。だがこれだと最初から最後まで切れ目無く続いてだらだらした印象だ。
 さらに、俳句では「芽吹く」は「木の芽」を指す。草の芽吹きは「草の芽」「下萌」「草萌」である。だからここは「芽生え」と普通名詞化して、別に早春の季語を据えたらどうだろう。
 (添削例) からからの地を割る芽生え浅き春    (水)

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