ひよどりも烏も鳴かず雪催     大澤 水牛

ひよどりも烏も鳴かず雪催     大澤 水牛

『合評会から』(酔吟会)

百子 年末から年始は体調を崩し、ずっと窓の外を眺めていました。空が曇り、雪がちらつき始めると、鳥たちがばたっと来なくなる。しーんとした「雪催(ゆきもよい)」の感じが浮かんできます。
可升 雪が降ってくる前の静かな雰囲気が伝わってくる。烏なども見えなくなるのでしょう。
反平 これはたぶん水牛さんの句ですよ。手帳を忘れてしまったそうで、雪催(ゆきもよい)などの句をさっき作ったばかりというから・・・。東京でもチラチラら雪が舞っていたのかな。
水牛(作者) その通り。さきほど作りました。家の庭には一羽烏が住み着いていて、猫の餌を横取りするんですよ。「カァーカァー」とよく鳴いてね。でも雪の日には来ない。
             *         *        *
 電車に乗ってから作者はハッと気づいた。俳句手帳を家に置いてきてしまった。若い頃と違って句を思い出せない。しかしそこからが底力の見せ所である。車窓の風景などを次々に句にして、句会ではまずまずの成績を収めてしまったのだ。「さすが」と私は唸り、ふと思った。あれは連句で鍛えた手練の技に違いない。(恂)

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