一福をめぐりめぐりて一万歩     塩田命水

一福をめぐりめぐりて一万歩     塩田命水

『おかめはちもく』

 「めぐりめぐりて」のような言葉の重ね方が成功することもるが、失敗例も少なくない。この句の場合、失敗とは言えないが、効果が十分に表れていないと思う。七福神を「一福」ずつ廻って、ということだが、「一万歩」を結果として挙げ、「七福」の文字が出てこないのはもったいないではないか。
 「みめぐりも一福とかや詣づべし」(大橋越央子)。これは向島・三囲(みめぐり)神社の恵比寿様だけをお参りしよう、という句だから、「一福」に必然性が感じられよう。掲句の場合も「一福」から七福に至ることはごく自然に理解できるが、それよりも効果的な詠み方が他にありそうである。
 「めぐりめぐりて」と重ねず、「めぐり」だけで留めたらどうか。すなわち添削案は「一福をめぐり七福一万歩」としたい。曹禅寺の布袋尊に始まり、微妙庵の毘沙門天、本成院の福禄寿、厳定院の弁財天など・・・。本門寺とその周辺の福神たちを集めた「七福」こそがお参りの主役と思うのだ。(恂)

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