故郷に夢置き忘れ冬夕焼     宇佐美 諭

故郷に夢置き忘れ冬夕焼     宇佐美 諭

『合評会から』

有弘 故郷、夢置忘れ、いい響きですね。「置忘れ」が生きていると思う。
敦子 故郷から都会へ、夢を抱いて出てきたのでしょう。長く都会に住んで、あの頃を思うと、夢が達成されていないな、という感じを受けます。
基靖 「冬夕焼」という言葉の中に故郷や置き忘れた夢が一つになっている。
崇 夢は故郷に置き忘れた、と作者はいう。自分の場合はどうか、と考える句ですね。
而云 いろんなことを夢見て上京して、現実と夢の違いは当然あるわけで、同じような思いは誰にもある。
諭(作者) 私の郷里は小田原で、富士山を毎日見るような生活でした。今は妻と二人だけの生活になって、ふと「あの頃の夢はどうしたんだろう」と考えることがあります。
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 「冬夕焼(冬茜)」は句会の兼題。各句を眺め渡すと、故郷、幼少の頃、上京、夢、懐かしさ、退職した現在など、人生を見つめるテーマに行き着くようだ。冬夕焼は夏の夕焼と似ていて、どこか異なるムードが感じられる。(恂)

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