風邪篭り座敷障子の白さかな     片野 涸魚

風邪篭り座敷障子の白さかな     片野 涸魚

『合評会から』(日経俳句会平成三十年年末合同句会)

可升 類句がありそうな気もしますが、風邪で臥せている時のとりとめのなさを上手く表現していると思います。
守 小さい頃田舎でこんな体験をしたような記憶があります。
弥生 元気で忙しい時は目が届かない障子の白さに心和む「風邪篭り」でしょうか。
水馬 風邪だと大げさに言って学校を休んだ小学生の頃を思い出しました。座敷の障子明かりが嬉しいような、でもちょっぴり罪悪感があって・・・。
          *       *       *
 日本間の座敷に敷かれた蒲団に横たわっていると、廊下側の障子に射す朝の光が目覚ましとなる。風邪で寝込んでいるとなれば、視線が低くなっているだけに尚更印象的である。普段、立ったり座ったりしている時は、ほとんど気にも留めない「障子の白さ」にはっと気がつく。この細やかな叙情を詠んだところが素晴らしい。(水)

この記事へのコメント