足指を手指でまわす冬の風呂     金田 青水

足指を手指でまわす冬の風呂     金田 青水

『おかめはちもく』

 句会でとても評判が良かった句である。「私も冬になると毎晩やっています」「老人の楽しみ」「ついつい長風呂になったりしてね」「とにかく目の付け所がいいね」等々、次々に褒め言葉が出てきた。
 しかし、「手指という言葉は無いんじゃないだろうか。ちょっと表現に無理がある」という意見が出され、それに数人が同調した。確かに、「指」と言えば誰しも手の指を思い浮かべ、わざわざ「手」を付けたりしないようだ。そして、足の場合は「足の指」とか「足指」と「足」を付ける。
 この句は「足指を」に合わせて「手指」としたのだろう。口調も良く、そのまますっと読めば何の違和感も抱かないのだが、一旦、「手指とは?」と疑問が頭をもたげると、途端に引っ掛かってしまう。誰かが「足指を手の指で揉む冬の風呂」はどうか、と助け舟を出した。「の」を入れたことで違和感は薄まったが、原句の調子の良さは失われ、しかも不要な「手」が残ったままである。
 あれこれ考えたのだが、原句の語調を生かしての添削は無理で、「足指をゆっくりと揉む冬の風呂」と素直に詠んでおくのが一番との結論になった。(水)

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