石蕗咲けり明日も洗濯日和とか     須藤 光迷

石蕗咲けり明日も洗濯日和とか     須藤 光迷

『この一句』

 十月末頃から一月にかけて、長い花茎の天辺に黄色い菊のような花をいくつも咲かせる。団扇形の葉はつやつやした緑色で、厳冬にも元気が良い。それほど目立つ草花ではないのだが、他に咲くものが無い冬場に健気に咲くから、昔の人たちは好んで庭に植えた。
 ところが昨今はパンジー、シクラメンなど、冬場にも派手な色彩で花咲かせる園芸植物が手軽に手に入るようになったせいか、石蕗の花はすっかり忘れられた存在になっている。しかし、温室育ちの花のとってつけたような華やかさやよそよそしさとは対照的に、いかにも素朴で、冬の寒々しい気分を和らげてくれる。庭の片隅や散歩途中の石段の踊場など、枯れ色の中に鮮やかな黄の花をつけているのを発見すると、思わぬ拾い物をしたような感じになる。
 この句はそうした石蕗の花の感じと、小春の雰囲気を伝えてくれる。気象予報士のオネエサンが「明日も洗濯日和でしょう」と言っているのを小耳に、庭を眺めているのだろうか。「安穏」という言葉が浮かんでくる。(水)

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