冬夕焼異邦人西方に伏す     河村有弘

冬夕焼異邦人西方に伏す     河村有弘

『おかめはちもく』

 句を見てまず、久保田早紀の歌「異邦人」ではなさそうだと思い、カミュの小説「異邦人」でもない、と見当をつけた。間もなくイスラムの人々の礼拝を詠んでいるのだ、と理解したが、俳句の場合、僅かであっても思考の迂回は好ましくない。スパッと理解できるような語や語順を選びたかった。
 イスラム教の礼拝は日に五回行われ、その四回目が日没の頃だという。さらに礼拝はメッカに向かってだから、日本からはまさに夕日の沈んで行く方角である。句会の兼題「冬夕焼」の題材として、とてもユニークで興味深い情景を詠んでいるのだが、句の構築の面で難しさを選んでしまったと思う。
 添削はすっきりと分かり易く、を心掛けることにした。季語の「冬夕焼」は原句通りとして、さてその後のこと。「異邦人西方に伏す」の破調は意識的と思われるが、読み易さを優先し「イスラム人(びと)は西へ伏す」とさせて頂く。即ち添削例は『冬夕焼イスラム人は西へ伏す』となった。(恂)

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