廃田の果てて枯野や主逝く     大沢 反平

廃田の果てて枯野や主逝く     大沢 反平

『おかめはちもく』

 1970年代に入るとコメがだぶつき始め、政府はそれまでの増産奨励から一転して生産調整・減反政策を採り、これによって農村地帯に「休耕田」が見られるようになった。
 今や休耕田どころか耕作放棄の「廃田」が続々出現するようになっている。農家は働き手が皆サラリーマンになってしまい、田畑を耕す人たちは年寄りばかり。老人たちの足腰が立たなくなってしまえば耕作放棄は必定だ。耕作放棄地にはたちまち雑草が茂り、冬になれば一望枯野となる。そして、その元田圃の枯野の地主も次々にあの世に旅立ってしまう。
 「廃田、果てて、枯野、主逝く、なんとも寂し過ぎですね」(睦子)という感想通りの句だ。まさに田園荒れて亡国の兆しすら感じる。
 今現在の実相をそのまま詠んだ時事句として重みがある。ただ措辞にもう一工夫が必要ではなかろうか。「廃田の果てて」というのがどうかと思う。「廃田の枯野と果てて主逝く」とすればすっきりするのではなかろうか。(水)

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