ひれ酒にマッチ擦る手の容よき      廣田可升

ひれ酒にマッチ擦る手の容よき      廣田可升

『合評会から』(番町喜楽会)

反平 この女性、色っぽいですね。以上です。
而云 今どきマッチするのは仏壇の線香つけるのと、ひれ酒のときくらいかな。ライターじゃだめだ。
静舟 寺山修司の「マッチ擦るつかの間の海に霧ふかし――」。あの短歌、とても格好がいいと思いますが、この句はあの短歌と別の意味で、格好がいい。まさに「容(かたち)よき」ですね。
水馬 その下五の「容よき」は「よし」の方がいいかな、とも思いましたが。
水牛 「よき」の方が余韻が生れますね。
可升(作者) 「容よさ」「よき」「よし」。いろいろやってみて、これで行こう、となりました。
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 河豚のひれ酒になぜマッチを擦るのか。アルコールの匂を飛ばし、ひれ酒の香ばしさを際立たせるためだという。なるほど、とは思うが、女性のたおやかな白い手を目にする方に価値があるのかも知れない。
 最近は大衆的な河豚料理屋も目につくが、そういう店で「ひれ酒」を頼んでも目の前で火を点けてくれたりしない。もう一段も二段もクラスの高い店でなければ・・・。じゃ、オレには無理か、の声(恂)

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