遺る絵の無言の叫び虚栗(みなしぐり) 徳永 木葉
『合評会から』(9月・日経俳句会番町喜楽会合同上田吟行)
鷹洋 戦没学徒の無言の絵画。戦争の空しさを告発して印象的。
哲 無言館の絵はどれも「もっと生きたかった」と叫んでいた。
光迷 まともに実を結ぶことができなかった虚栗と画学生の無念の想いの取り合わせには頷くほかありません。最近の世相に、その想いはさらに募ります。
てる夫 「無言の叫び」と「虚栗」のダブルの衝撃です。
二堂 無言館に遺る絵はみな充実した絵ですが、それを敢えて虚栗と言ったところが悲しみを誘います。
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画家として、彫刻家として、これから第一線に羽ばたこうとしていた時に徴兵、出征。どんなにか心残りだったことか。恐らくこの人たちは、周囲の熱気と時代の勢いに煽られて、自らも意気軒昂「行って参ります」と敬礼し雄々しく出立したに違いない。しかし、祖国の為に一命を捨てる覚悟を持ちながらも、やはり後ろ髪を引かれる思いがあっただろう。「虚栗」が実によく利いている。今回吟行の秀作である。(水)
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