お土産は何の種かな小鳥来る 須藤 光迷
『季のことば』
家の小庭に千両の苗を植えたのは十何年か前のことだ。年ごとに赤い実を地面に落としていたはずだが、芽生えることはなかった。ところがある年から、あちこちに芽を出すようになってきた。さらに我が家で見たことのない万両や南天も芽を出し、どちらも赤い実をつけている。
その理由はテレビの園芸番組で判明した。千両や万両などの実が落ちても、果肉がついたままだと芽を出さないのだ。小鳥が食べて果肉を消化し、残りをポトリ、というのが、芽生えのタネ明しであった。即ち我が庭は千両一本によって小鳥を招き、いろんなお土産を頂くようになったのだ。
作者は「何の種かな」とゆったりと構えている。以上のような実物(みもの)の芽生えのからくりをずっと前からご存知で、毎年、「小鳥来る」季節を楽しみながら過ごしているようだ。私の場合を言えば南天が大きくなり過ぎるので、切るか、残すか、さてどうするか、と悩んでいる。(恂)
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