仏壇の朱盆にふたつ青蜜柑 深瀬 久敬
『合評会から』(三四郎句会)
信 この句のポイントは朱塗りのお盆でしょう。青い蜜柑との取り合わせが印象的だ。
賢一 私も「朱盆」がいいと思いました。
進 秋の収穫と何らかの関係がありそうで。青蜜柑二つも印象的だ。
諭 色彩感覚を刺激される句ですね。二つの青蜜柑が何を表しているのかですが。
尚弘 一つだと寂しい、三つだと多すぎる。だから二つに・・・ (笑い)
久敬(作者) 「ふたつ」で「父母へ」の供えが分かるかな、と思いましたが。
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「朱盆」とは? 仏壇に置く朱塗りの小さな盆、果物や菓子などを供える一本脚付きの器物、「高月」(高坏)のこと、と解釈すればいいのだろう。この句では、器の朱と青蜜柑の色の取合せが話題の中心になった。
一家の亡くなった人を仏として祀るのは、他の仏教国にない、日本仏教の特徴だという。生者は毎朝、先祖や家族の霊を拝み、念仏を唱え、心の中で会話を交わす。季節の果物が手に入れば、まず仏様へと捧げる。今朝は瑞々しい青蜜柑だった。仏壇という狭い空間が、人と仏様との交流の場になっている。(恂)
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