青みかん宅配便にて郷だより 印南 進
『合評会から』(三四郎句会)
敦子 果物送ってもらって郷(さと)の季節が分かる。特に青蜜柑なんか頂きますとね。
尚弘 蜜柑を送るだけで、元気でやっていることが分かる。その証拠が届いた。
而云 青蜜柑の宅配便、確かに一足先に秋を感じますね。ああ、こういう時期が来たのか、と。
進(作者) 和歌山の青蜜柑を思い描いて作ったのですが。
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青蜜柑は特殊な状況下の果物である。収穫をもう少し遅らせば、甘くて金色に輝く蜜柑になるのに、わざわざ青くて、酸っぱいうちに食べてしまうのだ。理由は季節の先取り以外にないだろう。「おや、もう、青蜜柑」。店頭で見掛ければ、来るべき秋を思い、送られて来れば故郷の秋風を感じる。
私の知人の祖母は酸っぱい青蜜柑が大好きだった。孫娘の一人は祖母を真似ているうちに青蜜柑好きになり、今でも好物だという。一方、孫の一人(男)は、仕舞っておけば美味しくなると思い、机の中に隠していたのだが、「萎れていくうちに、甘い蜜柑が店に並び出した」と話していた。(恂)
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