新涼やバス定刻にやってくる 大熊 万歩
『合評会から』(日経俳句会)
二堂 定刻に来るのは当たり前とは言え、このバスは遅れずにやってきた。「新涼」に相応しい。
反平 バスってなかなか定刻に来ないが、ぴたっと来たので気分がいい。これもまた新涼の気分です。
木葉 夏の間は乗客も運転手もダレているから遅れがちになるのかな。涼しくなって時間通りに来る。
ヲブラダ 「新涼」という季語とバスが定刻に来るという事象。さらりと組み合わせて見事。
弥生 バスが定刻にやって来る心地よさ。新涼の爽やかさの中で感じられるものだと思いました。
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数十年前、「二物衝撃」と呼ばれる作句手法が俳句の世界を席巻したことがあった。映画のモンタージュ手法を取り入れ、1+1が3にも4にもなるような効果を狙っていたのだとされる。やがて時は流れ、穏当な取合せの句に数多く出会うようになった。この句もその一例と言えるだろう。
取合せの句は二つの間合いが“付過ぎ”だと平凡になり、二物衝撃的な“離れすぎ”は理解しにくい。この句の場合、二つの間合いが遠そうで近そうで、その距離の微妙さが句の魅力になっている。(恂)
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