新涼にルバーブのことひもときて 池村 実千代
『おかめはちもく』
ケーキの飾りに紅色やピンクの甘い蕗のようなものが散りばめられているが、それがルバーブ。ジャムやパイの中身にもなっている。中国原産で漢方の下剤原料の大黄(ダイオウ)がヨーロッパに伝わり、近縁種と交雑してルバーブという固定種になり、17,8世紀にその茎を食用にすることが広まった。日本にも明治時代に入って来たが見向きもされず、最近ようやく方々で栽培されるようになり、ケーキ材料店や山間の道の駅などで見かけるようになった。
半世紀前、東欧に駐在していた時、新鮮野菜に飢えてウイーンの市場をほっつき歩いてルバーブを見つけた。「なんと、蕗がある」と驚喜して買い込み、早速、煮たらどろどろになってしまった。チェコ人のお手伝いの小母さんが「それはこうするの」と、砂糖を振りかけぐつぐつ煮ると赤い美しいコンポートが出来た。
この作者もルバーブを手に入れて、その故事来歴から調べてみようと思い立ったのか。とても面白い句だが、「・・のことひもときて」が少々もたついている。俳句の勉強会でこれを話題にしたら、「やはり調理法を言った方がいい」との意見。それではと、「新涼やネットでルバーブ調理法」としてみた。(水)
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