猛暑日に気遣ふ電話メールかな     山口 斗詩子

猛暑日に気遣ふ電話メールかな     山口 斗詩子

『おかめはちもく』

 一人暮らしを心配してくれる人がいるんだなあ、嬉しいなあ、という気持がこちらにも伝わって来る。ほのぼのとした気分の句である。
 友人の一人、言うまでも無く老齢で、しかも最愛の伴侶を数年前に亡くした男、身体も頭もまだしゃっきりしているだけに退屈で仕方が無い。時々掛かって来るあれこれの勧誘電話が退屈しのぎにとてもいいと言う。しかし、「よく掛けてくれたな、何の勧誘かね、じっくり説明して頂戴」と言うと、相手は調子が狂うのか早々に切ってしまうのだそうだ。
 そういう物好きは別として、独居老人は男女を問わず退屈で淋しくて、中には孤独感にさいなまれる人もいる。好きだった読書も眼が弱くなったせいか数ページで疲れてしまう。音楽CDも以前のように聴き入る気分にならない。しょうがないから、一日中テレビの白痴番組を点けっぱなしにしている。そんな時に子どもたちや友達からの電話やメールが届くのは本当に嬉しい。
 しかし、この句、「猛暑日に」とあるのが何となく落ち着かない。やはり「猛暑日を気遣ふ」の方が良さそうだ。(水)

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