生命の四十億年新緑に 高橋ヲブラダ
『この一句』
この時期、周囲を見回すと「生命の季節だ」と思わざるを得ない。北半球の植物はいま最も生き生きとし、成長を続けていく。人間も他の動物も基本的には同じはずだが、目に見えて成長するとなるとやはり植物だろう。葉は緑を鮮やかにし、さまざまな花を咲かせていく。
ところであなたは日々の植物の変化を見ながら、こんな風に感じているのではないか。「葉が茂ってきた」「もうすぐ花が咲くだろう」「肥料は足りているかな」・・・。ところが句の作者は新緑の葉先に、四十億年に及ぶ地球の命の営みを見ているのだ。すごいなぁ、と思わざるをえない。
「水の地球すこしはなれて春の月」(正木ゆう子)。この句を知った頃、俳句も宇宙へ出て行く、と感じた。しかし身の回りを眺めるだけで、宇宙の神秘に触れることが出来そうだ。明日の朝、木々の葉先を見つめてみよう。遥かから到来した生命のパワーを、感じ取れるに違いない。(恂)
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