嫁がざる叔母とままごと桐の花     星川 水兎

嫁がざる叔母とままごと桐の花     星川 水兎

『この一句』

 「なんとなく、心に沁みる俳句ですなぁ」(涸魚)、「我が家の光景かと思いました。二人の娘がまだ独身で、近くに住む末っ子の息子の子供が遊びに来ると一緒に楽しげに遊んでいるんですよ。自転車を教えたり縄跳びしたり・・・」(光迷)。句会ではいろいろな感想が寄せられた。
 桐の花はパラパラ降ってきて一見賑やかな感じだが、薄紫の色も相俟ってどことなく淋しげな感じがする。でもまあ初夏の明るい日射しの中に降りそそぐ桐の花は「ままごと」のいい材料になるだろう。
 桐の木は成長が早く、高さ十メートルにもなって大きな葉を茂らせる。その材は軽くて丈夫で箪笥をはじめ最高級の家具の材料になる。昔、素封家では娘が生まれると桐の苗木を植えた。娘が嫁ぐ頃合いに桐は大きく育ち、それを切って嫁入り道具の箪笥を拵えたのだ。
 この句の叔母さんは嫁に行かずに桐の木の下で、恐らくこの句の作者であろう姪っ子の相手をしている。どんな理由があったのか、読者にいろいろ考えさせる。小説的な俳句とでも言おうか、しみじみとした良い句である。(水)

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