滝眺むしばし時間の止まりたる     大熊 万歩

滝眺むしばし時間の止まりたる     大熊 万歩

『合評会から』(日経俳句会)

木葉 滝の句として標準的な句だ。じっと見ていると確かに時間が止まり、見ていて飽きない。そんな情景を詠んでいる。
哲 滝のしぶきがゆっくりと落ちて、まるで止まっているようだというのと、水がつぎつぎと落ちてきて循環し輪廻しているように見えるという両方がある。これは後者で、永遠に時間が止まっている様な感じを受けたのだろう。
明男 確かに滝を目の前で見ていると、他に何も聞こえない、時間が止まったように感じる時がある。それも滝が大きく、轟音の大きいほどそんな感じになる。作者もそうした感じを受けたのだろう。
正市 景も、作者の想いも見えて来る。これからより、これまでがスライドショーのように脳裏を走ったに違いない。
          *       *       *
 木葉氏の「滝の句として標準的」という評が面白い。誰もが感じる「滝の水のストップモーション」を呈示して、何事かを感じさせる句に仕立てた腕前を褒めているのだ。(水)

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