花冷えの病棟静か母眠る    斉山 満智

花冷えの病棟静か母眠る    斉山 満智

『合評会から』(番町喜楽会)

百子 「病棟静か」によって「花冷え」の雰囲気がよく出ていると思いました。
木葉 「母眠る」ですが。「お母さんはまだ生きているのかな」などと、ちょっと心配になりました。
冷峰 僕もそう思います。この句だと「お母さんは逝っちゃった」のかなぁ、と心配です。
而云 そうですか。本当に亡くなったなら、こういう詠み方にはならないのでは、と思いますが。
光迷 「病棟」はいつも静かですね。特別に「静か」というからには・・・。私も不安になりました。
満智(作者) 母はまだ生きております(笑)。でも、いろいろ勉強になりました。有難うございます。
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 作者は母上の様子をごく普通に詠んだのだが、そのために誤解を生んでしまった。句の表現に難点があるとは思えない。一方、「亡くなった」と解釈する側が悪いとも言えない。誤解を生まないような表現は重要だが、それを意識しすぎると味わいが薄れてしまうだろう。ではどう変えるべきか。しばらく考えたが、名案は生まれてこなかった。十七音の短詩・俳句の表現とは何とも難しいものである。(恂)

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