川沿ひにゆらり流るる花筏     山口 斗詩子

川沿ひにゆらり流るる花筏     山口 斗詩子

『おかめはちもく』

 桜の花びらが散って、池の面や川面を帯のように毛氈のように覆う。それがゆっくりと流れる様は、まるで花の筏のようだと歌や俳句に詠まれるようになった。「花筏」とは実に美しく、いかにも春爛漫ののどけさを歌う季語である。この句もそうした雰囲気を素直にそのまま詠んでいて、好感を抱く。
 しかし、上五の「川沿ひに」が何としても余分である。わざわざ「川沿ひに」流れて行くなどと言う必要はないのではないか。私も日ごろ「分かり易く」を心掛けて句作し、人にもそう勧めているせいで、ついつい説明し過ぎてしまう癖がある。しかし当然のことだが、余分な説明が入るとくどくなり、詩情を削いでしまう。
 この句も「ゆらり流るる花筏」の口調はそのまま生かし、上五を少し離れた言葉にした方がいいようだ。「朝の陽に」でもいいし「昼休み」でもいいだろう。あるいは「喜寿の声」などとうんと飛んでもいい。「人の世や」と思い切って気取ったっていいのではないか。(水)

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