脇道がおいでおいでと春の色     星川 水兎

脇道がおいでおいでと春の色   星川 水兎

『合評会から』(日経俳句会)

木葉 毎日散歩する道に小さな脇道があって、そこには花が咲きかかっているのか、芽吹いているのか、「来てみなさいよ」と誘っている。情感があっていいなと。
青水 春の日を浴び、その冷たさや爽やかさの心地よさをどう表すか。誰もが悩むところだが、「脇道」を発見して無理なく口語調に擬人化した名作。
万歩 春めいてきてなんとなく気持ちの浮き立つ日。そんなそぞろ歩きの雰囲気がよく出ている。
三薬 そう、春は放浪心をくすぐるんですよね。呑み助なら居酒屋を見つけてふらり。私なら偏屈そうなオヤジの店でラーメンと餃子かな。
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 春らしくなって来ると、なんとなく気分が浮き立ち、散歩もいつものコースではなく回り道をしてみたりする。そういう感じを実にうまく詠んだものだ。擬人法というものは、得てして技巧が見え透き、わざとらしい感じになったりするのだが、この句はそんなことはない。いかにも「脇道」がいつになく目を引いて、誘うような風情なのだ。これも春の為せる業なのであろう。(水)

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